エンジニアは冷蔵庫を開けた。 飲み物を探して中を見回すと、冷蔵庫の中には見慣れない物が目に入る。 石田 幸弘 「本?」 冷蔵庫の中に本なんか入れたかな? と思いつつ手に取る。それはひんやりと冷たかった。 大きさはB6判辺りで、紙が黄色く日焼けしている。ページ数はそこそこあり、古い辞典か何かかと石田は思った。 中を見ようと本を開くと、少し不自然な動きを見せ真ん中あたりのページが開かれる。 石田 幸弘 「!?」 そこには不思議な光景が広がっていた。 そのページにはモノクロの写真が印刷されていたのだが、それがまるでテレビの様に動いているのだ。 そこに映るのは刃物を持って奇妙な動きをしている少女。そしてその近くには怯えた様子の犬や猫たちが見えた。 石田 幸弘 「なんだこれは……」 電子技術の発達でタブレット型端末など小型で映像を見れる物は開発されたが、こんな紙の端末なんて見たことはない。 石田 幸弘 「む……?」 本に映る少女の顔を見た石田は、少し引っかかるものを感じた。 一度目を閉じて考える。すぐにその引っ掛かりは解消した。 石田 幸弘 「西島澪……?」 本の中で動いている少女は、少し前に行方不明でニュースとなった西島 澪(にしじま みお)と似ていた。 彼女はまだ見つかっておらず、行方不明になる前に不審な人影も目撃されていたので、誘拐などとも言われていた。 石田 幸弘 「何故彼女が……?」 他人の空似と思いつつも気に掛かる。 そもそも本にこんな映像が流れる自体おかしい。石田はどうなってるんだとその映像の部分に触れようとした。 そして映像の部分に触れたと思った瞬間、そのまま手は本の中へと入っていった。 石田 幸弘 「一体どうなって――」 と驚いている最中、突然ものすごい力で手が本の中へと吸い込まれていく。 手、腕、そして体と頭まで一気に吸い込まれた時、石田の意識は途切れた。 …………。 石田 幸弘 「ん……?」 石田が目を覚ますと、そこは城のようなところだった。 石田 幸弘 「どこだ……ここは」 うつ伏せになって倒れている体を起こし、立ち上がる。周りを見渡すがそこは今まで一度も訪れたことのない場所だった。 石田 幸弘 「そうだ。俺は……」 意識がはっきりしてきて、自分は本の中に吸い込まれていったのを思い出す。 まさかここは本の中の世界だろうか? 石田 幸弘 「そうだ、西島澪……!」 本の中の世界ならば彼女も居るはずだ。 テレビで彼女の両親がひどく泣いていた事を思い出す。 連れて帰らないと。 石田は西島澪を探すため城内を歩き始めた。 城内は広いが、まるで人の気配がしない。 誰も居ないのだろうか? 女の子の声 「にゃはは〜。いたずらする子はこうにゃのだ〜」 ドタバタドタバタ。 石田が歩いていると、女の子の声と走り回っている音が聞こえてきた。 まさか西島澪? 石田は声のする方向へと急ぎ足で向かった。 扉が開いている部屋が見える。 どうやらあの部屋から声がするようだ。 女性の声 「OKですよ」 今度は女の子の声ではなく、若い女性の声が聞こえた。本を通して見た光景がよみがえる。 女性が黒幕か……? とりあえずその女性にここの事や西島澪の事を聞かなければならない、そう思って部屋へと入る。 少女 「もう疲れたー」 女性 「もう少しです。頑張ってください」 そこには疲れた様子の少女、それをなだめる女性、そして犬や猫の動物達が居た。 部屋の隅のほうには三脚とビデオカメラがあった。何か撮影でもしていたのだろうか? とにかく事情を聞かないと。 そうやって歩き出そうとした時、背後に気配を感じた。 石田 幸弘 「っ!?」 後ろを向くとそこには―― 男 「お前誰だ」 …………。 シュロトリア 「石田とやら、お前は自分の家の冷蔵庫に置いてあった本に触れたと思ったら吸い込まれてここに来たわけだな?」 石田 幸弘 「はい。その通りです」 シュロトリア 「むむむ……確かあれは最近無くなった魔道書だったが、まさかそんなところへ行っていたとは……」 この男、シュロトリアと名乗った。 この城の主で、魔王らしい。 ここは地球とはまた違う世界で、人間も居るが魔物なども存在しており、よくあるファンタジーな世界といったところか。 そしてここは人間側ではなく、魔王側であると。 石田 幸弘 「あの、それでどうすれば元の世界へ帰れるんでしょう?」 シュロトリア 「ああ……それなんだが」 シュロトリアは、少女――西島澪と、女性――島津政美(しまづ まさみ)を見た。 シュロトリア 「簡単に世界を行き来することは出来ん。それには強大な魔力が必要だ」 石田 幸弘 「はあ。それでその魔力はどうしたら――」 シュロトリア 「ここで働いてくれ」 石田 幸弘 「へ?」 シュロトリア 「魔力は私が提供してやろう。しかしタダとはいかん。だから働いてくれ」 石田は澪と政美の方を見る。 澪は石田を見てニコニコしている。 政美は目が合うと恥ずかしそうにうつむいた。 シュロトリア 「大丈夫だ。そんな厳しいことはせん。むしろここから出ると色々と危険がある。ここに居るのが安全だと思うが」 石田 幸弘 「は、はい……」 ここは見知らぬ地。 従った方が良さそうだ。 そう考えた石田はシュロトリアの城にて働くことになった。 石田の仕事は使用人として働くことだった。 と言っても、この城は主の魔力であまり汚れないようになっている上、主は自分のことを自分でやってる。 西島 澪 「ねえゆっきー、飲み物頂戴ー」 石田 幸弘 「わかりました」 西島 澪 「ねえねえゆっきー、まさみーにご飯作ってって言ってきてー」 石田 幸弘 「はいはい」 西島 澪 「はいは一回でしょ〜」 石田 幸弘 「はい」 西島 澪 「はいじゃないが」 石田 幸弘 「えっ……?」 西島 澪 「なんでもないよー」 石田は澪の世話に苦労していた。 澪は石田のことをゆっきーと呼んだ。 それは下の名前の幸弘からつけたあだ名だった。 澪は政美のこともまさみーと呼んでいる。 政美は料理がとても得意で、澪にとても好かれている。 シュロトリアに澪は好かれているようで、執事の役割を与えられている。 石田や政美は使用人。位は執事の方が上だ。 と言っても、澪が何をしているのかと言えばAV(アニマルビデオ)の撮影が主な仕事らしい。 シュロトリアいわく、AVは民衆の癒しであり、とても役に立っているとか。 執事というかアイドルである。何故澪が執事なのかはよく分かってない。 石田 幸弘 「あっ、島津さん。澪さんがお腹すいたと言ってましたよ」 島津 政美 「わかりましたー」 島津政美は家事全般を担当しており、特に料理が上手い。元の世界では保育士をしていたらしく、澪とは上手くやっているようだ。 ただ少し場当たり的な行動が目立ち、シュロトリアを困らせることもあるが、根はいい人そうであった。 シュロトリア 「うむ。これは良い出来だな」 魔王シュロトリアは、政美の撮った映像を見てうなずきながら言った。 画面には澪と動物達が映っており、澪は笑顔いっぱいで、動物達は少し引きつった感じの顔をしている。 石田 幸弘 「これが民衆の癒やしになるんですか?」 確かに愛らしい動物達(少し表情は引きつっているけれども)と少女が映っているのなら癒やしになるかもしれない。 シュロトリア 「ああ。民衆達は頑張ってるからな、癒しが必要だと思ってな、AVを用意したのだよ」 石田 幸弘 「はあ」 石田はAVと聞いて、いやらしい想像をした。 しかしシュロトリアはAVをアニマルビデオの省略で使っているようだった。 シュロトリア 「澪は大事なモデルだからな。もちろん犬や猫たちもだ。しっかりと面倒を見てやってくれ」 石田 幸弘 「わかりました」 澪の相手をするのは大変だが、シュロトリアも悪いやつでは無さそうだ。仕事をきちんとこなせば元の世界へと帰してくれるはずだ。 だが澪や政美は帰してくれるのだろうか? 石田は、澪の両親が泣きながら澪の無事を願っていた姿を思い出す。 政美だって心配している人が居るはずだ。 全員無事に帰れればいい。元の世界へ帰る魔力がどれぐらいの対価を要求するか分からない。 しかし働くことでシュロトリアが魔力を出して元の世界へ戻してくれるというなら、まず最初に自分以外の2人を帰してから、最後に自分が帰るというのでも良いと石田は思っていた。 ただ、民衆の癒しはどうするのか。 澪をサポートするためには政美は必要だ。 石田以外は帰れないかもしれない。 でもきっと2人だって帰りたいと思っている。 何とか全員が帰る方法はないだろうか。 石田はそう考えていた。 石田 幸弘 「広いね……」 城の中は広い。 空調等はシュロトリアの魔力で調整されており、暑くもなく寒くもなく快適に過ごせる。 魔王恐るべし。 西島 澪 「やっほーゆっきー。なにしてんの〜?」 澪が元気よく跳ねるようにして近づいて来る。 石田 幸弘 「少し城の中の散歩をね」 西島 澪 「おおおー! じゃあ私が案内するよー!」 石田 幸弘 「ありがとう」 西島 澪 「はいはーい、私に付いてきて〜! はぐれて迷子にならないように!」 石田 幸弘 「はい」 澪は石田を先導しながらスキップで進んでいく。よくもそこまで元気があるものだ。 ちょうどいいから澪に色々聞いてみようかと石田は声を掛けた。 石田 幸弘 「西島さんは――」 西島 澪 「みおー!」 石田 幸弘 「あ、はい。では澪がこの世界に来ることになったのは何故なんですか?」 西島 澪 「道歩いてたら、まおうが面白いものがあるからって連れてかれたのがここだった―」 誘拐じゃないか……。 テレビで報じられた不審な姿というのは、シュロトリアが来てたということだろうか。 石田 幸弘 「元の世界へ帰りたい……?」 西島 澪 「うん。もうあのビデオ撮影飽きたし」 シュロトリアが澪をこの世界に連れ込んだ理由……癒しという単語が思い浮かんだ。 AV(アニマルビデオ)が民衆の癒しになる。 だが当の本人は飽きている様子。 シュロトリアはこれでも良いというのだろうか? シュロトリアは澪をとても大事にしていた。 何故か執事にまで任命している。 でもそれは澪が癒しを生み出す者だからという理由で、本心からでは無いということだろうか。 西島 澪 「ここが食料倉庫でー、ここがお風呂場でー」 澪は部屋の扉を開けては場所の名前を言って、次々と進んでいく。 西島 澪 「あ……」 そしてとある部屋の前で止まった。 石田 幸弘 「どうしました?」 西島 澪 「ここは近づいちゃ駄目な部屋−。まおーに叱られた−」 そう言って澪は部屋から遠ざかっていく。 西島 澪 「もう部屋案内終わりー」 石田 幸弘 「あっ、待ってください!」 澪は廊下を素早く駆けていき、すぐに見えなくなった。 石田 幸弘 「……」 石田は澪が近づいちゃ駄目と言った部屋の方を見た。特に他の部屋と変わりない。 もう少し近づいてみる。 石田 幸弘 「!?」 ――その瞬間、異様な感覚に包まれた。 近づいてはいけない……そう、石田の感覚が警告を発する。 体がとても重い……。 石田は急いで部屋から離れる。 そうすると体が楽になっていった。 石田 幸弘 「なんなんだ……?」 やはり、魔王と呼ばれる存在が住んでいるだけのことはあるのだろうか? この部屋にはもう近づきたくない。そう石田は感じたのであった。 島津 政美 「石田さん、ご飯出来ましたよ」 石田はお腹が空いたのでキッチンに行った。 そうすると政美が迎えてくれた。 そしてすぐに料理を作ってくれた。 政美は料理が得意らしく、澪からも慕われている。 石田 幸弘 「ありがとうございます」 島津 政美 「いえいえ。どうぞ召し上がってください」 石田 幸弘 「いただきます」 石田は政美の作った食事を口にした。 石田 幸弘 「美味しい……」 島津 政美 「ありがとうございます」 いつ振りだろうか。 こんな美味しい食事を食べたのは。 味だけで言えば、店で食べたりしているので同じようなのは食べたことがある。 しかし家族の食事というのだろうか、とても温かみのある食事。そういうのは石田にとってとても久しぶりの事だった。 石田 幸弘 「そういえば島津さんって、保育士をしてたんですよね?」 島津 政美 「……」 島津 政美 「はい」 一瞬の違和感。すぐに政美は笑顔になったが、石田は感づいていた。だが気づかないふりをする。 石田 幸弘 「料理は上手ですし、とても心遣いが感じられます。澪さんにも人気なようですし、保育士としてもとても優秀だったのではないですか?」 島津 政美 「いえ……私は別にそんなのではありません」 石田は少しマズイと思った。 保育士と聞いたときの違和感に気づいて、話を止めてしまえば不審がられると思い流れで聞いたが、やはりこの話題は地雷だったのかと。 島津 政美 「私は……目の前のことしか考える事の出来ない無能な者です」 石田 幸弘 「……」 政美はとても悲しい目をしていた。 多分保育士の事で何かあったんだろう。 石田はそう思った。 とりあえずこの空気を変えなくては、そう思った矢先―― 西島 澪 「おーい、まさみーごはんー」 島津 政美 「……あっ! はいはいー」 澪がキッチンに入ってくる。 政美はすぐに支度を始めた。 石田は何はともあれ助かったと思った。 西島 澪 「あれ? ゆっきー食べてたの?」 石田 幸弘 「はい。澪はさっき食べてませんでしたっけ?」 西島 澪 「お腹空いたもん。後まさみーの料理おいしーし」 澪はニコニコしながら言った。 両親と離れて寂しかったりするのだろうけど、明るく振る舞う澪。 石田 幸弘 (強いな……) 普通この年齢なら、突然こんなところに連れてこられて不安で一杯なはずだ。 よくこんなに堂々と過ごせるものだ。 西島澪が行方不明になったのは2ヶ月ぐらい前の話。当時は誘拐じゃないかと騒がれて、テレビで特番が組まれていた。 じゃあ政美は……? 石田は島津政美という名前に記憶はなかった。 この人はいつからここに居るのだろうか? 石田 幸弘 「澪、島津さんはいつからここに居るんだ?」 西島 澪 「私が来た時にはもう居たよ。どれくらいから居るのかは知らない」 つまり2ヶ月以上前から居るわけか。 家が恋しくないのだろうか。 島津 政美 「お待たせしました」 西島 澪 「わーい」 政美は普段を笑顔を取り戻していた。 彼女のここに来る前のことについて聞いていいのだろうかと、石田は思った。 石田 幸弘 (余計なことをせずに、このまま仕事を続けていれば帰れるみたいだし、トラブルは避けたほうが良いかもな) 澪はこの世界から元の世界へと帰りたいと言った。石田もそうだった。でも政美だけは……政美だけはとてもこの世界を楽しんでいるかのように見えた。 シュロトリア 「どうだ? この城の生活にも慣れてきたか?」 石田 幸弘 「はい。なんとなく」 シュロトリア 「不便があれば政美に言うが良い」 石田はシュロトリアと話をしていた。 シュロトリアは時折自室から出てきては城内を見回り、皆と話をしている。 人間とは生活のリズムが違うらしく、食事の回数はとても少ない。 石田 幸弘 「そういえば、島津さんはいつからここに居るんですか?」 石田は下手に首を突っ込むのは問題になるのだと分かってはいたが、やはりおせっかいな性格が災いし、なんとかしてやろうという気が先行してしまった。 シュロトリア 「政美は、3ヶ月ぐらいだったか」 石田 幸弘 「3ヶ月ですか」 澪が来る少し前。 特にその時期に誘拐事件などのニュースをやっていた記憶はない。 しかしテレビでやる事件などは注目が集まると思われた事件だけだ。 大抵の行方不明や事故などは報じられないだろう。 シュロトリア 「何だか暗いやつでな。思い詰めたような顔をしていて、どうにも相手がしづらくてな」 シュロトリア 「しかし澪が来てから変わったな。やはり私が見込んだ癒しの人間だ」 石田 幸弘 「なるほど」 やはり政美はここに来る前、何か問題を抱えていたのだろうか。 石田 幸弘 「それで――」 そこで石田はハッとした。 何故政美はここに来たのか、と聞こうとしたが、澪の件を思い出す。 誘拐。 シュロトリアは温和な感じだが、澪を誘拐をしたのは間違いない。 その部分に触れるような話を聞いてしまうのは流石にまずい気がする。シュロトリアは魔王だ。あまり突っ込みすぎると簡単に消されてしまうかもしれない。 石田 幸弘 「いえ、何でもありません」 シュロトリア 「そうか? まあ何かあったら聞くが良いぞ」 そう言ってシュロトリアは自室の方へ戻っていった。 澪や政美が抱えてる問題を何とかしてやりたい。そう思うも、魔王という存在の前に無理は出来ない。 元の世界でも国や企業、権力者を前に虐げられる人々を石田はたくさん見てきた。 その度に救ってやりたいとは思うものの、やはり自分も無力なため、何も出来ずに終わっていくだけだった。 そういうことが続いて、しばらく救うなどということを考えないようにしていた。 意識的にそういう惨状を見ないように回避していたのかもしれない。 だが困っている人、辛い目に遭っている人を見ると、救ってやりたいと思ってしまう。 歳も歳。自分の性格はやはりかんたんに変わらないなというのを石田は感じていた。 石田 幸弘 (救えるか……いや無理すれば消されるか……) 石田 幸弘 (いや、そもそも自分自身がこのままで帰れるのだろうか……?) 石田は何とか現状を打破しようと考えるも、自分の力ではどうにか出来そうになかった。 とにかく仕事をこなして、チャンスを待とう。 きっと来るはずだ。 そう信じて石田は過ごしていくのであった。 西島 澪 「今日は休みなのー!」 澪は笑顔で飛び跳ねている。 今日はAV撮影がないので、1日まるまる遊べるらしい。 西島 澪 「ゆっきー! 遊ぼう!」 澪が笑顔で近づいてくる。 最近澪が石田に懐いてきてる。 言うことを何でも聞いてくれるので、気に入ったようだ。 石田 幸弘 「えっと……」 石田 幸弘 (どうしようか……?) 澪と遊び始めると際限なく付き合わされ、1日のほとんどが終わってしまう。 石田は政美に話を聞きたいと思っていた。 しかし誘っても付き合ってくれるとは限らない。 石田 幸弘 (澪とも一度、話をしておいた方がいいかもしれない) 石田の心は揺れた。 ;選択肢 ;澪と遊ぶ ;政美と話す