;雑スレVIPロゴ表示 ;メニューなし。タイトルロゴin ;タイトルロゴそのままで背景in ;タイトルロゴoutで本編へ ;23文字3行 好夏「遅刻。今何時だと思ってんの?」 大輝「わりぃ。ちょっと出るの遅れて。    でも、走ってきたんだぞ俺。    時間だって一分遅れただけだしさ」 好夏「言い訳無用。    遅刻は遅刻。    よって、向井には罰を与えます」 大輝「ば、罰?    なんだよ罰って」 好夏「わたしになにか奢ること!」 大輝「なんだ。それくらいだったら別にいいけど」 好夏「へー、向井にしては珍しく素直だね」 大輝「べ、別にそんなことねえよ」 貯めてたお年玉を持ってきておいてよかった。 今日は鈴木に大人な俺を見せるチャンス。 そして、このデートを成功させるんだ。 あれ、でもこれって本当にデートなんだよな。 デートと思ってるの俺だけだったりして。 鈴木はどう思ってるんだろ。 大輝「す、鈴木」 好夏「んー?」 大輝「あ、あ、あ、あの、あれ」 好夏「あー、トイレ。    いいよ、いっといれ」 大輝「ちげーよ!    あとそれつまんねーから!」 好夏「…………」 大輝「あ、ちがう、そうじゃない。    そうじゃなくて」 好夏「なに?」 大輝「こ、これって、あれだよな」 好夏「これ?    あー、夏祭り?    今年で三回目らしいよ」 大輝「そっちじゃねーよ!    あと聞いてねーよ!」 好夏「なんなんだよーもう」 大輝「で、で、で……」 好夏「で?」 大輝「そうそう、デが付くものといえば?」 好夏「デブ」 大輝「…………」 鈴木、デブはねーよデブは。 なんでわかんないかなー。 雰囲気でわかってくれよ。 だめだ。 鈴木相手にストレートに言うのはムリ。 かといって、遠まわしじゃ気づきそうにないし。 大輝「あきらめよう」 好夏「よくわかんないけど、そろそろ行かない?」 大輝「ああ、うん」 ;場面暗転 大輝「なあ、なんか食べる?」 好夏「は?」 え? なんか悪いこと言った? 好夏「わかってないなー向井は。    夏祭りといえば、まずはあれだよあれ」 大輝「あれって?」 好夏「金魚掬いに決まってるじゃん」 大輝「あー金魚掬いね」 大輝「よし、やろうぜ」 ここは、金魚をいっぱい掬ってかっこいいところを を見せるチャンス。 好夏「そうだ。    せっかくだしさ、勝負しようよ」 大輝「え? 勝負?」 好夏「どっちが多く掬えるか。    負けた方がここのお金払うの」 大輝「別にいいけど、おまえ自信あんの?」 好夏「ううん、全然」 大輝「じゃあ、なんで勝負?」 好夏「ただ遊ぶだけじゃおもしろくないじゃん。    それにお父さんが勝者と敗者がいてこそ、    ドラマは生まれるって言ってた」 大輝「おまえは金魚掬いになにを求めてるんだよ」 好夏「じゃあ、始めるよ」 ;場面暗転 大輝「あーちくしょー全然とれねー」 店主「ハハハ、君はあんまり上手くないね」 大輝「うっ……」 店主「それに比べて隣の娘はすごいな」 大輝「え?」 好夏「よっと。ほっ、とうっ」 大輝「お、おい、鈴木。    おまえ何匹捕まえたんだよ」 好夏「えー? 何匹だろ。    ひーふーみー……十匹かな」 じゅ、十匹だと……。 大輝「おまえ自信ないって言ってなかった?」 好夏「言ったけど」 大輝「じゃあ、なんだよこれは」 好夏「向井は馬鹿だなー。    あたしがなんの勝算もなく、    勝負すると思った?」 大輝「ま、まさか、    おまえ金魚掬いのプロだったりするのか?」 好夏「ううん、あたしの腕は並レベルだよ」 大輝「じゃあ、なんでそんなにいっぱい掬えるんだ    よ」 好夏「知りたい?」 大輝「あ、ああ」 好夏「おじさん、ポイ貸して」 店主「あいよ」 好夏「向井、この違いわかる?」 大輝「違い? ポイはポイだろ」 好夏「ふっふっふ、向井はバカだなー」 大輝「なんだよ、なにも違わないだろ」 好夏「実はこれ、厚さが違うんだよ」 大輝「は? そんなわけ……ち、違う!    ポイの紙の厚さが違う!」 好夏「そう、金魚掬いのポイには実は種類がある。    厚いものと薄いもの。    向井が使っていたのは薄いもの」 大輝「まさかおまえのって?」 好夏「そう、あたしは厚いポイ」 大輝「そ、そんな。    おじさん、俺にも厚いのくれよ」 店主「それはできねーな」 大輝「どうして?」 好夏「それは向井が男の子で、    あたしが女の子だから」 大輝「は? う、嘘だろ」 好夏「ホントだよ。厚いのは子供と女子用」 店主「ホントホント、おじさん嘘つかない」 こ、こんなところに男女差別の世界があったとは。 好夏「あと、向井は裏使ってるからね」 大輝「裏?」 好夏「ポイって裏表あるんだよ。    裏は破れやすいんだよねー」 大輝「なんだと……」 好夏「あたしの完全勝利か」 大輝「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお    おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお    おおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 好夏「じゃあお金よろしくね。    おじさん、金魚お返ししまーす!」 店主「あいよ、まいどあり」 ;場面暗転 大輝「あー、うー、あー」 好夏「もううるさいなー」 大輝「わ、わりい」 くそっ、せっかくかっこいいところを見せられると ころだったのに。 俺のバカ野郎。 好夏「向井、次はあれやろーよ」 大輝「射的?」 好夏「うん。また勝負しようよ」 大輝「おまえ自信あるの?」 好夏「ないない。    射的ってふんいきを楽しむ遊びなんだって。    お父さんが言ってた」 大輝「じゃあ、なんで勝負すんだよ」 好夏「向井にリベンジの場を用意しました」 大輝「な、なるほど」 鈴木、おまえって良い奴だな。 さすが俺の好きな女子。 大輝「わかった。やろう」 好夏「ルールは落とした物が多い方が勝ちね」 軽い物を狙って行けばいいってことか。 好夏「先やっていい?」 大輝「ああ」 ;場面暗転 好夏「あちゃー、二つしか取れなかった」 大輝「十分すごいって」 好夏「向井に言われるとむかつく」 大輝「なんでだよ!」 好夏「うそうそ、冗談」 大輝「ったく、俺の番な」 好夏「向井、どうせなら大きいやつ落としてよ」 大輝「は?」 好夏「あそこのぬいぐるみなんかいいなー」 え、鈴木はなにを言ってるんだ? あんな大きなものが落ちるわけないだろ。 好夏「あ、ごめんごめん。    あれ獲っても勝負じゃ負けちゃうよね。    落とすの大変そうだし」 そうそう、 勝負に勝つためには小さい物を狙わないと。 好夏「でも、あのぬいぐるみかわいいなー」 大輝「ぐっ」 ど、どうすればいいんだ? 勝負にこだわるか、勝負を捨てるか。 ;選択肢 ;1,勝負にこだわって小さい物を狙う ;2,勝負を捨ててぬいぐるみを狙う 好感度アップ ;1の場合 鈴木は俺を動揺させようとしてるだけ。 ここは心を鬼にして、確実に落としていこう。 ;場面暗転 ポトッ! 大輝「これで四つ! 俺の勝ち」 好夏「ぬいぐるみ作戦は失敗か」 大輝「おまえの考えることはお見通しだし」 好夏「ふーん、向井にしてはやるじゃん」 大輝「ま、まあな」 鈴木に褒められた。 鈴木に褒められた。 鈴木に褒められた。 大輝「俺が本気出せばこんくらい余裕だったな。    金魚掬いは油断しただけでさ」 好夏「向井」 大輝「なに?」 好夏「置いてくよー」 大輝「ま、待てよ!」 ;ここまで1, ;2の場合 小さい物を狙えば勝てるかもしれない。 でも、それじゃかっこよくない! ここはぬいぐるみを落として、 鈴木にかっこいいところを見せるんだ。 ;場面暗転 ;景品鐘SEあれば 大輝「う、嘘だろ」 好夏「す、すごい。すごいよ向井!」 店主「おめでとう、はいこれ景品ね」 大輝「お、お、おおおお」 奇跡が起きた。 落ちることはないと思っていた、あのぬいぐるみが 落ちたんだ。 好夏「いやーあたしの指示が正しかったね」 大輝「なんでおまえが偉そうなんだ」 鈴木が言わなきゃ狙わなかったけど。 大輝「な、なあ、これいる?」 好夏「え? くれるの?」 大輝「うん」 好夏「あ、ありがと」 決まった! 鈴木も嬉しそうだし、完璧じゃんこれ。 好夏「妹喜ぶだろうなー」 大輝「え?」 好夏「妹こういうの好きだから」 大輝「ああ、そうなんだ」 それはないよー鈴木。 ;ここまで2, ;場面暗転 好夏「そろそろお腹空いたなー」 大輝「なんか食べる?」 好夏「よし、向井、やきそばパン買って来い」 大輝「パシリかよ俺」 好夏「あ、ごめん」 大輝「いや、いいけどさ」 好夏「焼きそばパンは売ってないよね。    焼きそば買ってきて」 大輝「そっちのごめんかよ!」 好夏「はい、これ五百円ね」 大輝「え、行くこと決定してるの?」 好夏「え、行かないの?」 ;選択肢 ;1,素直に買いに行く 好感度アップ ;2,自分で行くように言う ;1,の場合 大輝「行くよ」 好夏「向井ならそう言うと思った」 大輝「行ってくる」 好夏「行ってらっしゃーい」 これ、なんかいいな。 ;ここまで1, ;2,の場合 大輝「自分で行けばいいだろー」 好夏「やれやれ、    向井はおつかいもできないの?」 大輝「ぐっ、わかったよ、行けばいいんだろ」 好夏「よろしくー」 はあ、挑発に乗ってしまった。 ;ここまで2, ;場面暗転 大輝「さて、どうしよう」 鈴木から渡されたのは五百円。 これじゃ二人前は買えない。 この焼きそばは鈴木のものだろうから、 自分の分は別に買わなくちゃいけない。 大輝「でも、焼きそばって気分じゃないしなー」 周りを見ても、食いたい物は特になかった。 大輝「戻るか」 鈴木に焼きそばを渡してから自分のを探そう。 ;場面暗転 大輝「って、鈴木いないじゃん!」 戻ってみると鈴木の姿がなかった。 大輝「あいつ、どこに行ったんだ」 まさかデートに飽きて帰った? 焼きそばを買いに行かせたのも隙を作るため? 大輝「うわああああああああああああああああ」 好夏「なにしてんの?」 大輝「す、鈴木!    おまえ、どこ行ってたんだよ」 好夏「ごめんごめん、たこ焼き買ってた」 大輝「それも食べるの?」 好夏「向井も一緒に食べようよ」 大輝「え、俺も?」 たしかこういうことするのを英語では。 ;選択肢 ;1,シェアしていいの? ;2,ランデブーしていいの? 好感度アップ ;1,の場合 大輝「シェアしていいの?」 好夏「は?」 大輝「英語でこういうのシェアって言うんだよ」 好夏「なんで英語なの」 大輝「な、なんとなく」 好夏「ふーん」 ;ここまで1, ;2,の場合 大輝「ランデブーしていいの?」 好夏「は?」 大輝「ランデブー」 好夏「ランデブーってどういう意味?」 大輝「えっとどういう意味だろう」 好夏「ちょっと待って」 鈴木がスマホを取り出して、なんかしだした。 好夏「ふーん、向井はランデブーしたいんだ?」 大輝「す、鈴木が嫌ならいいけど」 好夏「どうしよっかなー。    向井がどうしてもっていうなら、    ランデブーしてもいいけど」 大輝「ランデブーしたい、かな?」 好夏「そっかそっかランデブーしたいんだ。    なら、たこ焼きランデブーしよっか」 ;ここまで2, 鈴木が爪楊枝をたこ焼きに刺して、持ち上げた。 好夏「向井、食べる?」 これってもしかして、あーんってやつ? ど、どうしよう。 ;選択肢  ;1,食べる 好感度アップ ;2,食べない ;1,の場合 大輝「食べる」 好夏「オッケー。はい、あーん」 大輝「あーん」 パクッ! 好夏「んっ、美味しい!」 大輝「あ、あれ?    くれるんじゃなかったの?」 好夏「ごめんごめん。次はあげるから」 ;ここまで1, ;2,の場合 大輝「食べない」 好夏「そっか、んー、美味しい!」 もしかして、損した? ;ここまで2, 好夏「向井、食べるよね?」 ;選択肢 ;1,食べる 好感度アップ ;2,食べない ;1,の場合 大輝「食べる」 好夏「オッケー。はい、あーん」 大輝「あーん」 パクッ! 好夏「んっ、美味しい!」 大輝「くそっ!」 好夏「ごめんごめん。次はあげるから」 ;ここまで1. ;2.の場合 大輝「食べない」 好夏「ホントに? 美味しいのに」 やっぱり食べたかった。 ;ここまで2, 好夏「食べたい?」 ;選択肢 ;1,食べたい 好感度通常の2倍アップ ;2,食べない ;1の場合 大輝「食べたい。もうお腹空いてやばいよ」 好夏「仕方ないなー」 好夏「はい、あーん」 大輝「あーん。もぐもぐ」 好夏「どおどお、美味しい?」 やばい、味わかんねー。 大輝「美味い、かなー?」 好夏「もうあげないよー?」 大輝「いや美味い、美味い!」 味はわからないけど、 今最高に幸せなのはまちがいない。 ;ここまで1, ;2の場合 大輝「食べない」 好夏「そっか……」 ;ここまで2, ;場面暗転 大輝「あ、鈴木。隠れたほうがいい」 好夏「なんで?」 大輝「あそこあそこ」 指差した方向にはクラスメイトの女子三人組がいた。 大輝「俺たちが一緒にいるのがばれたらまずいし」 好夏「なんで?」 大輝「え? なんでって?」 好夏「一緒にいるのがばれたらなんでまずいの?」 大輝「それは噂になったら困るだろ」 好夏「噂って?」 大輝「だから、俺とおまえがその」 好夏「あたしと向井が?」 鈴木、おまえなんでそんなにニヤニヤしてるんだ? 俺の言いたいことがわかってるだろこいつ。 くそっ、なんだかむかついてきたぞ。 大輝「っだああああああああああああああああ!    ばれてもしらねーからな」 好夏「ふーん、ばれていいんだ?」 大輝「え?」 好夏「おーい、みんなー!」 鈴木。 おまえは一体。 なにをしてるんだあああああああああああああ。 女子A「好夏も来てたんだー」 女子B「なんで向井がいんの? うけるー!」 だから言ったじゃないか。 こいつら絶対おもしろおかしく言いふらすんだ。 もう学校行けねー。 女子C「もしかしてデート?」 来ると思ったその質問。 どんな返事しても噂されるじゃんこれ。 鈴木はどうするんだろ。 好夏「うん。デート中」 大輝「は?」 女子A「マジ?」 女子C「うけるー!」 女子B「いつから? いつから付き合ってるの?」 好夏「そういうのはまた今度ね」 女子B「わかった。絶対に教えてよ」 女子A「それじゃ、わたしらいくね」 女子C「うけるー」 好夏「ばいばーい」 好夏「さてと。おーい、向井」 大輝「な、なに?」 好夏「なんかボーっとしてない? 大丈夫?」 大輝「ああ、うん」 好夏「ごめんね」 大輝「なにが?」 好夏「ばれちゃった」 大輝「あがっ!」 かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわい いかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわ いいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい。 好夏「あれーなんか顔赤いよー?」 大輝「そ、そんあことねーし」 好夏「うっそだー。    ねえねえ、なんで顔赤いのー?」 大輝「うるせーなー、見んなよー」 顔が熱くてたまらない。 ;場面暗転 大輝「大体、見るもの見たよな」 好夏「うん」 大輝「あと、花火だけかな」 好夏「うん」 大輝「食べたい物は……ないか」 好夏「ない。もうお腹いっぱいだし」 大輝「うん」 どうしよう。 こんなときなにを話せばいいんだ。 鈴木も口数減ってるし。 怒ってはいないだろうけど。 さっきはいい雰囲気だったし。 告白ってこんなときにしていいのか。 わかんねー。 どうする。するか、告白。していいのか。 鈴木はなに考えてるんだろー。 好夏「あっ」 目が合った。 今だ。今しかない。告白を、するんだ。 ;分岐 ;条件。好感度4成功以上で告白成功√へ ;告白成功√ 大輝「鈴木、あのさ」 好夏「なに?」 大輝「俺、おまえのこと」 大輝「おまえのことが」 大輝「好きだっ!」 好夏「ホントに?」 大輝「う、うん」 好夏「そっか、そっかそっか」 大輝「なんでそんなニヤニヤしてるんだよ」 好夏「向井」 大輝「なに?」 好夏「大輝」 大輝「……は?」 好夏「あたしも好きだよ」 ;花火SE 好夏「花火だー! ほら、向井。花火!」 大輝「う、うん」 この日の花火のことを俺はよく覚えていない。 なぜなら俺は。 花火に彩られた鈴木の横顔をずっと見ていたから。 ;EDへ ;告白失敗√好感度が3までの場合 大輝「鈴木、あのさ」 好夏「なに?」 大輝「俺、おまえのこと」 大輝「おまえのことが」 ;花火SE 好夏「花火だー! ほら、向井。花火!」 大輝「う、うん」 好夏「あ、ごめん。    それでおまえのことがなに?」 大輝「え、それは別に」 好夏「なになに恥ずかしいのー?」 大輝「花火! 花火見ようぜ」 結局、この日は告白できなかった。 でも、また今度でもいいかとも思えた。 それぐらいこの日は幸せだった。 ;edへ